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 院長室のきのうきょうあした

 
 
 
 その1 とびらをあけて
 
 

 院長室のドアを開けて、室外からのすてきな風を感じられるように。そして室内に入ってきたうれしい風は、花の香りとともに室外に送り出せるように・・・との思いで、折に触れ, 所長室できのうきょうあしたの心にひびくことごとをお届けしたいと思います。

 Solaris Eikoさんというアーテイストはご自身のコンサートでスタンダードジャズ以外に「とびら」というオリジナルな日本の歌を、とりわけ心をこめて歌います。作曲は全盲のシンガーソングライター村田静也さん、作詞は10歳のダウン症候群の俊樹さんという方です。曲はこんな歌詞で始まります。「お願い好きといってよ。僕がほほ笑むから。抱きしめたいほど君が好きだから・・・」そして「一万年もかかって開く扉、一万年もかかって出会えた奇跡・・・」はまさにラブソングです。ところが村田さんによれば(https://www.youtube.com/watch?v=sCmM7LLdv8Y)、実はこどもは親を選びに選んで、ついに自分のおかあさんのところに生まれてきた・・・という意味だったとおっしゃっています。
ある意味では素朴な曲ですが、言われてみればきれいな旋律の中で、こどもにとっては我が親と、親にとってはわが子との出会いが、何千万何億分かの一の偶然の奇跡によるというよろこびの表現としてもしみじみと感じさせられるところのある歌です。Eikoさんは障害のある方々への思いも豊かな方で、チャリテイやボランテイアの場面でもご自身の歌とやさしい美しさで観客を魅了しておられます。
都立東部療育センターにお世話になって1年半、重い病気、重い障害のあるこどもたちを育てはぐくんでこられたご家族のハートとパワーに感銘を受ける毎日ですが、あらためてとびらの歌詞の持つ意味をしばしば考えさせられます。障害があってもなくても唯一無二の我が子を思う親のこころはもちろんとして、思い病気と障害のある方々を真剣に、かつかろやかにお世話するスタッフのあたたかくも厳しいプロの姿勢、ベッドサイドでこどもたちに声をかけ、本を読み、歌ってくださる学校の先生方の志の高さに出会うたびにいつもながらに心打たれます。

この夏、トルコの古都エデイルネの郊外約10kmの場にある医学博物館を訪ねました。ここは1488年オスマントルコの時代にたてられたモスクにもうけられた病院と医学部の跡を改装したもので、当時のイスラム医学の教育と診療の様子が等身大の人形でいきいきと展示されています。大人の腰痛の治療や子供の水頭症の治療場面、手術中の臨床教育の場面、教室での少人数教育の場面、ふたりの医学生がォの一室で猛勉強している場面などがいきいきと再現されています。精神疾患の病院、病棟は別棟の大きな建物のなかに多数の小部屋が作られていて、統合失調症と思われる患者さんの病室での様子や、医師が子どもをみているところを、少し離れて不安気な母親が待っている様子もありました、この子どもの診断ができないのは残念ですが、この時代に児童精神医学があったことは驚きです。今日よく話題になる音楽療法がこの時代すでに本格的に実施されていた様子もみごとに再現されており、そもそもは音楽療法が精神疾患の患者さんの治療のために行われていたことを知り、衝撃を受けたことでした。ポクラテスの誓いなどさまざまな地域の医学の歴史がひろく紹介される中で、イスラム世界の医学と医療の紹介に接することはほとんどありませんでした。このたび中世トルコの時代の医学と医療そして医学教育の歴史的実在に接したのはわくわくするできごとで、医学医療の歴史の中での重みをもっと知っておきたいものだと感じる旅でした。

 医学の志は歴史的に病に悩む人のために進歩し、発展してきた学問であり、実践であったわけですが、とりわけ障害児・者医学は平和で豊かな時代にしか発展しえない領域です。「もっとも弱い者を一人のもれなく守る」という重症心身障害児(者)を守る会のスローガンは、弱い者を守れない社会は、それより少しだけ強い者も守れず、それよりもう少し強いあなたや私を守ってはくれない社会になることを懸念してのことだということをしみじみと感じる時代のように思います。

 
 
その1 とびらをあけて(写真)
 
     
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