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 院長室のきのうきょうあした

 
 
 
 その2 水族館と動物園
 
 

 思いがけず、「院長室のきのうきょうあした その2」が遅れに遅れて、はや2015年も後半です。猛暑が高じて酷暑の夏ともいわれていますが、終戦の日がふたたびめぐりきて、空にはときおり秋の雲がのぞく季節になりました。
 
  昨年の11月15日、仙台での学会と班会議の帰りにマリンピア松島という小さな水族館に立ち寄りました。この水族館は瑞巌寺別院だった解脱院の前にあり、2017年、富山県の魚津水族館に続いて日本で二番目に開設された由緒ある施設でした。
  マリンピアは2011年3月11日の東日本大震災で多大な被害を受けましたが、スタッフのたいへんな努力により2011年の大型連休の前の4月23日に再オープンをとげたことで大きく報道されました。昨年11月に訪れたときも壁際にその間の復旧の努力の経過が写真入りで詳細に報告されていました(写真)。淡水にいきる生き物たちが海水をあびることでたくさん失われたりもしたようでした。飼育員の皆様がたの、生き物たちの命をなんとかつなぎたいという熱い思いと、命を預かっている人たちの使命感が一体となった想像を絶する作業努力があったと思います。水温の低下で弱っていく命を助けるために大きいかまでお湯をわかして水槽に注ぎ、水温調整をはかるとか、津波を浴びて汚れた機械・設備をすべて分解して洗い、再度組み立てるとか、およそ考えられることは何でもなさったようでした。
  しかしながら2015年5月10日、マリンピア松島は88年の歴史に幕を閉じ、閉館となりました。
  同じ年、今年の7月1日、仙台うみの杜水族館が開館しました。マリンピア松島の閉館は津波とは別の判断だったのでしょうか、それとも今はやりの統合合併の結果だったのでしょうか。
  マリンピアで出会った海の生き物たちが、うみの杜にひっこすという話もあったような気がしますので、あのときあった海の生き物と再会のために訪れたい気持ちでいるところです。マリンピアを訪れたとき、自分へのおおみやげに買った小さなノートを今も日々のメモ代わりに使っています。
 
  第二次大戦中の1943年から動物園の生き物たちが、市民に危険を及ぼす心配から軍の命令で、殺されたことは「かわいそうなぞう」という絵本(土家由岐雄著)でもよく知られるようになりました。そしてもしかしたら、のちには餌の確保の問題からも同じような殺「処分」も行われたのではないでしょうか。動物たちを手塩にかけて育てていた飼育員の方たちの思いやいかに、と切なく感じ、同時に自らの意思で動物園にきたわけではない動物たちが、自然界の掟としての死とは無縁の状況で死ななければならなかったことへの哀切の思いもとどめられません。
 
  水族館や動物園を訪れることの多い私ですが、どこの水族館も、どこの動物園も訪れるたびに心安らぎ、心楽しくなる場所です。自然災害には、ひとにできるだけの備えをしたうえで、あとは天命を待つしかありませんが、国として不戦の誓いをたてた終戦から70年たったこの暑い夏に、どうか平和が続いてくれますようにと祈る日々をすごしています。
  平和への思いとともに、みなさまも猛暑の夏を元気に乗り越えていただけますように。

 
 
 
 
     
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