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 院長室のきのうきょうあした

 
 
 
 その4 全員就学の時代に
 
 

 新年度がはじまって1か月近くたちました。桜も花びらを散らし、あざやかな若葉の季節が始まっています。
  年度末には東京都立東部療育センター内の墨東支援学校かもめ分教室で小学校、中学校、高等学校の教育の過程をすべて修めて、卒業を祝う会に臨んだ病棟のお子様たちと、高等部を卒業された子供だったおとなの皆様に、お祝いの気持ちと言葉を送る機会をいただきました。
  こどもたちにとって学校は本当に特別な場所ですが、いまは全員就学といって6歳になれば、だれでもが学校に行く権利を持ち、障害があっても、なくても、障害が重くても軽くても、誰もが学校に入学するのがあたりまえになっています。しかしこの当たり前が当たり前になったのは昭和54年、1979年でありまだ40年もたっていないのです。東部療育センターに入所中で、今年、高等部を卒業された方の中には、この全員就学の制度の施行以前に就学年齢を迎えたため、当時、ご家族が就学猶予「願い」を提出せざるを得なかった方々が含まれていました。東部療育センターに入所後、さまざまな煩雑な手続きを経て学籍を得られたこと、そして本校のご支援のもと、かもめ分教室の先生方の懇切丁寧なご指導をいただけたこと、学習の過程を終了して卒業できたことはご本人にとって、またご家族にとってことのほか感慨深いことであったと思います。

  今年3月5日土曜日、神奈川県の杉田劇場で「21番目の素敵な出会い」という催しがありました。この催しはダウン症候群の方たちの応援団であるドリームエナジープロジェクトが主催し、元宮城県知事浅野史郎さんも協力して開催されました。3人のダウン症候群の青年のコンサートで始まり、トップバッターはトランペットを吹く青年でした。ジャズシンガーのソラリスエイコさんの伴奏でOver the Rainbowと上を向いて歩こうが演奏されました。伴奏者の緊張も伝わってきて、私もどきどきしていましたが、ほとんどミスもなく無事にりっぱに演奏が終わって、ほっと一息ついたことでした。二番目のソリストはミュージカルも続けているという青年で、身振り豊かに情感を込め、まさしく独創的な音程で宇宙戦艦ヤマトと上を向いて歩こう、を歌い上げました。正直いうと不協和音が苦手の私にはふつうなら少々辛い歌唱でしたが、全体としてのパフォーマンスはそんな私の感覚を自分にも許さないほどの大絶唱でした。3番目に登場した青年は別れの曲とトロイメライを文字通りみごとなピアノで披露してくれました。
  次に演じられた群像劇はスペシャルゲスト常盤貴子さんの的確なリードと協力により、たくさんのダウン症候群、知的障害の子どもたち、青年たちのパフォーマンスとなり、命の誕生と生まれてきた喜び、生まれてきてくれた喜びを象徴するものでした。フィナーレは暖かく大きな拍手に包まれ、演じきった嬉しさと誇りに満ちた「役者さん」たちの姿に観客も喜びと感動をおさえられませんでした。お世辞ではなく、ぜひとも再演を期待したい出来栄えであったと思います。
  今の日本では学校に行きたくない、学校に行けないこどもたちが信じられないほどの数になっています。学校に行きたくても行けない貧しい国々、戦時下の国々のこどもたちが、学校に行きたい!と強く願い、幸いにして学校に行けるようになったこどもたちが、眼をきらきらさせて、学ぶ喜びを語るテレビ番組などでの報道を見るたびに、学校に行かない、行けない、あるいはそこまでいかなくても、いやいやながら学校に行っている子供たちがたくさんいる、豊かな世界の中での不幸の重さに暗澹たる思いにとらわれます。
  今の世の中、どこか変、どこかおかしいと思うこともありますが、障害があるといわれるこどもたちが学ぶ姿や生活のよろこびをかいまみることが、学校の意義や楽しさを学ぶきっかけになればよいのにと願うことしきりです。

 
     
 
The 21st. Wonderful Encounter
 
 
 
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